再会したファイル
2006年10月05日17:38
今日は、病院の定期診断の日でした。
偶然にも、明日(10/6)は、私の入院記念日。
あれから3年経ちますが、私の療養生活がスタートした日です。
いつもどおりの診断を受け、経過は順調。主治医に
「調子よさそうやん。去年の肌より良くなっている」
と言われて一安心。
今のところ、全くアレルギーの薬を飲まない生活をしていますが、
悪化の徴候が出た時に、早めに手を打てるよう、
3日分だけの“備え”の抗生物質を頂いて、診察は終了。
会計を済ませて、すぐに帰るつもりでしたが、
明日でちょうど3年経つし、久しぶりに入院病棟に行ってみようかなぁ、という気分になり
退院以来立ち寄らなかった入院病棟に行ってみました。
まず行ったのは、屋上。
病院の中で一番お気に入りの場所でした。
入院中は4人部屋で、プライバシーはカーテン1枚で区切られた生活、
治療が辛くて泣きたい時は、MDウォークマンを持って行きました。
病院は空港の近くだったので、屋上からは飛行機がよく見えます。
音楽をガンガンに聞いて、飛行機をしばらく見て気をはらし、
落ち着いたら目が赤くないか確認して(笑)、
「さぁ、戻ろう」と部屋に帰っていました。
ココは風に当たって、密かにリセットできる大切な場所でした。
懐かしいなぁと思いながら、
いよいよ私が生活していた4階へ。
病室まで行きたかったところですが、面会の記帳が面倒だったので、
エレベーター前の談話コーナーまで入りました。
机と椅子がいっぱいあって、お見舞いに来たお客さんと話をしたり
軽くお茶ができるスペースです。
が、あれ?ちょっとレイアウトが変わったかな?
と入ってみると、本棚やラックが増えていました。
先生の本でも置いてるのかなぁ?とラックに近づくと、
そこに見覚えのあるファイルが!!
それは私が退院した日に主治医に渡したファイルでした。
ファイルの中身は、入院患者のための病院の周辺情報。
病院周辺の地図、近所のお店情報、大阪、神戸の観光案内etc.を
ファイリングしたものです。
この病院、とくに私がいた階は、
主治医を頼って全国から入院して来る患者が固まっていました。
私のルームメイトも、同じ治療のため入院していて、
出身地は東京、広島、鎌倉、とバラバラでした。
そんな彼女たちは土地勘がない場所で
平均2ケ月生活しなければならず、
しかも、毎日の散歩を勧められているため、
外に出なければなりません。
でも、もともと古い街なので、
途中で行き止まりの道があったりして、
朝の散歩で帰ってくるのが遅いなぁと思っていたら
「道に迷っていた」という人もいました。
そんな様子を間近で見ていて、退院間近になった頃から
このヒマな入院生活の間に何かできないかなぁと思い始めました。
で、個人的にちょろちょろとファイリングを始めていたら、
私より先に(笑)ルームメイトの退院ラッシュが重なって、
周りが部屋を出る準備を始めたんです。
なもんで、彼女達はもう必要ないかも?と思い、
「もし良かったら、入院中に得たこの辺りの情報を分けてもらえるかな?ファイリングしてるねん。」
と言ってみたんです。
そしたら、皆が思った以上に協力的で!!
駅で取って来た地図、お店のパンフレット、ショップカードetc.
これも、これも、といっぱい提供してくれて、
あっというまに皆が“自分の足”で得た地元情報が満載のファイルになりました。
私が退院する頃には、もう入らない~ってくらいの
ぱっつんぱっつんのファイルが1冊出来上がりまして、
退院日の家に帰る前、外来診察が終ったばかりの先生の
診察室にお邪魔して、今までのお礼と共に「皆で作りました」とファイルを手渡して帰ってきたんです。
それから、早3年。
先生に「あのファイルどうなった?」などと聞く事もなく
誰かの役に立ってたらいぃなぁ、と思ってたくらいだったのですが、
再会したファイルを手に取ってみると、
けっこうクタクタになっていて、
表紙には“持ち出さないで下さい”という
ボロボロのメモが貼ってありました。
そして、中を見てみると、、、、
情報が増えてる(エリアが拡大されてる)!!
そして、ちゃんと更新されてる!!
ルームメイトから分けてもらったパンフレットや、
私が手書きでメモしたお店の情報も残っていました。
それに加えて、後から入院した人も情報を足してくれているみたいで、
「あぁ、ファイルが育ってる~!!」と感激してしまいました。
ファイルが置いてあるラックには、病院周辺の大きな地図の冊子と
「美味しいものノート」と書いた、皆が自由に情報を書くことができるノートが置いてありました。
こんなコーナーが出来ていた事が、すっっごく嬉しくて!
帰る前に改めてファイルをパラパラ見てみいると、
私のメモはベットの上で切ったり貼ったりしてたから、
仕事が雑で「うわっ字、きたなっ」と恥ずかしくなりましたが。。
でも、帰り道では「あぁ、作って良かったなぁ」とジワジワ充実感が湧いてきましたね。
主治医に渡す時、ファイルに自分の名前を入れるか(もちろんファイル作成に協力してもらったルームメイトも)どうかで迷いましたが、匿名にしていて良かったです。
匿名にしていたから、後の人が情報を足したり、更新したり、手を入れやすかったのかなぁと。
(名前を入れちゃうと、他人が手出ししにくくなると思うんだな。
古い情報はどんどん捨てて欲しかったし。)
これからもあのファイルが皆さんに育てられる事を
楽しみにしています。
近畿中央病院に入院して、初めて同じアトピー患者の方と知り合うことができました。
皆さん生活をするうえでいろいろな工夫をされていて、さまざまな情報交換ができたのはとても貴重な体験でした。
そのなかで、みんなが持っている情報をシェアしたいという思いが出てきて、ファイルという形になりました。
ここから、患者団体atopicの立ち上げのお手伝いをしたり、阪南中央病院の会議室を借りて、アトピー患者さんにむけてボランティアのヨガレッスンをしたり、何か自分にできることはないか?と行動を起こすようになりました。
結婚・出産で、現在活動は途絶えていますが、このブログをきっかけに、また何かのかたちで動いていけたらなぁと思っています。