ヨガとは何ぞ?

2011年10月26日20:45

ヨーガ療法士の前期講座も終わりに近づき、そろそろ卒論提出の時期に入ってきました。
30ほどのテーマを与えられ、その中から自由に選べるのですが、
私は超!王道の「ヨーガとは何か?」というテーマを選択することにしました。

もっと細かいテーマもあったんだけど、どうせ時間を使って調べ物をするなら
今後生徒さんに質問された時に答えられるような、ヨガの「概要」をこの機会にまとめちゃおうという魂胆です(笑)
まだまだヨガについての勉強は始めたばかりで、これからもずーーっと勉強していかなきゃいけないものですが
最近感じるのは、「ヨガってまぁよくできたツールだわぴかぴか(新しい)」ってこと。

一般的にヨガって女性が美容のためにする事が多くて、オシャレなウェアに身を包んで柔らか~くしなやかな体を作るってイメージか、男の人だったら足の間から首が出てくるような超人的なポーズをするビックリ人間か…
げっそりそんな感じで言われる事が多いです。

でも、勉強してみると、もともとヨガってチベットとかの山で修行をする行者さんたちがしていたものだからハタ・ヨーガの書なんかでは「女人と交わっちゃダメ」っていう記述があったりします。
修派によっては男性だけの派もあったそうで、「男がヨガなんて…」って思っている人がいたら、それは大きな誤解です。
そんな印象でヨガを遠ざけていたとしたら、もったいない話です。

また、よく生徒さんから聞くのは「私、体が硬いから…」って言葉。
もー全然関係ありませんからっっダッシュ(走り出す様)

もともとヨガの目的はぐにゃんぐにゃんの体を作ることではありません。
実際のチベットの山の写真を見せてもらってびっくりしましたが、ヨガの行者さん達が修行に入るのはものっすごい空気の薄い高地で、崖だらけの足場の悪い山です。
その崖っぷちの隙間にできた穴ぐらみたいな所で修行をするそうです。
だから、高地に耐えられる体が必要なんです。それは無駄のない引き締まった体。
筋肉は酸素を多く必要とするので、ボディービルダーの様なモリモリの筋肉はいらないんです。
そして、近年言われ始めているのが、「柔らかいのがそんなにエエか?」という考え方。
ヨーガ療法士の先生は筋肉をぎゅんぎゅんストレッチして伸ばしきるのを良しとしません。
(もちろんある程度の準備運動は必要ですが)
例えるなら筋肉が「伸びきったゴム」になると言われ、筋肉をほぐすにしても、
自分の体を使って負荷をかける方法(両手を組んで互いに押し返すとか)で筋肉を伸ばします。

それと、大事なのは、人と比較しないこと。

インドのパタンジャリっていうヨガの聖典をまとめた偉い人は
ヨガとは「意識の中に生ずる動揺を静止させること」と定義しています(ざっくり言ってますが)。
“意識の中に生ずる動揺”って、人と比べた時に起こりやすいんですよね。
ストレスの原因は「比較する事」が発端だという考え方です。
視覚ってなかなか刺激の強い、影響力の大きい感覚だから、セラピーとして行う場合は、比較の世界から離れるよう、目を閉じてアーサナ(ポーズ)をします。

そういえば、最近スポーツ選手もヨガを取り入れるケースが増えてきたんですよ。
オリンピック選手を指導した先生によると、彼らは体作りの面では普段からあらゆるトレーニングをしている訳で、今さらヨガで体を作るというレベルはないそうです。「既に超一流の体だ!ぴかぴか(新しい)」と。
ではヨガに何を求めているのか?
それは「心のコントロール法」として取り入れているそうです。
それこそライバルがいて、成績を比較されて、重圧を抱えての勝負です。
そんな中でも淡々と自分の競技をしなければならない。そして勝たなければならない。
もともと修行僧が行っていたヨガを、選手達は自己コントロールの「ツール」として使っているわけです。

アシュタンガ・ヨガの仕組みとも、知れば知るほど「よぉできてんなぁ」感心します。
パタンジャリが「ヨーガスートラ」というヨガの経典を書いたのが1500年ほど前。
もうこの時期にヨガの基本的な体系ができあがっていたんですね。

生活様式も変わってしまった現代にヨガが残っているってすごいと思いません?
しかも閉ざされた世界で保存されて残っているのではなく、あらゆる国の一般人が生活に取り入れているという定着率の高さには驚きです。
まぁ、正直「合う、合わない」の相性はあると思います。でも興味を持ったら一度やってみて下さい。

美容、体力作り、リラックス…いろんな目的でヨガをする人がいると思いますが、
私はヨガの伝統的な考え押さえつつ、目の前の生徒さんにあったヨガを
細々と(笑)ウッシッシやっていけたらなぁと思っています。

 

 

振り返り コメント

人と比べてしまうことがストレスの原因、分かっちゃいるけど、
油断するとすぐ周りの人と比較してしまう自分がいます。
社会生活のなかでいろんな人と接していて、人と比べず生きていくのはなかなか精神力のいることだと思います。
でも、まずは、そういう思いに駆られたとき「いかんいかん、また人と比べてるわ!」と気づいて「自分は自分」とリセットできたら、マイナスに傾いた気持ちをぐっと真ん中ラインの方に引っ張ってこれる気がしませんか?
この真ん中ラインのことを「中庸ちゅうよう」とも呼ぶのですが、プラスでもマイナスでもない、心のさざ波を穏やかにする手段として、「今のここにいる自分」に立ち返れるヨガは有効だと思っています。